手押し打刻作業

「年輪」制作途中の刻印を入れるところの写真です。

 

日頃、木を素材として指輪を作っておりますと、それぞれの木の性質の違いに気付き、
制作方法を各種の木に合わせた方法を用いて作る大切さを毎回、木から教わります。

 

人とのお付き合いとあまり変わらない気がしますね。

 

「木霊」(こだま)という言葉がありますが木を加工していると、まさに木に宿る精霊の存在を感じることも…

 

実際に木は人を癒やす効果を有していて、この力は「フィトンチッド」と呼ばれていて森林浴は、
その恩恵を充分に味わう一つの方法として有名です。

 

この効果を制作者の特権として楽しみながら、御客様に提供できる指輪を作り、
日々を木によって癒やされ穏やかな気持ちで過ごしてゆきたいと思います。

 

そして写真の年輪に使用されている木はモミの木ですが、
このモミの木こそ常緑樹で一年中葉が枯れることなく生い茂ることから、
フィンランドでは「永遠の命」「変わらぬ心」の象徴とされているものです。

 

私はモミの木と聞くと思い出すのが、このフィンランドの作曲家
シベリウス作のピアノ独奏のための「樹木の組曲」の5曲の小品です。

第一曲目から「 ピヒラヤの花咲くころ 」「 さびしいモミの木 」「 ポプラ 」
「 白樺の木 」「 モミの木 」という題名が付けられております。
中でも一番有名でよく演奏される有名な曲は5番目の「モミの木」です。

 

この「樹木の組曲」は第一次世界大戦の時期に書かれたものですが、
これらの木々がフィンランドの長く厳しい冬を生き抜くように、
人の心を暗く、または残虐にさせる戦争中であっても強く生き抜こうという
シベリウスからのメッセージが込められていると言われております。

 

「永遠の命」の象徴というモミの木を身に着けることは、まさに木の精の力を纏うものとなるでしょう。

 

結婚指輪に用いる素材として、こんなにも強い意味と相応しさという点からは
比類無きものであることが感じられるのです。

木のひとつひとつに、そのストーリーと象徴するものが存在することは、
人それぞれにもストーリーと、その為人(ひととなり)を象徴する何かがあると思います。

そんな象徴となるもののひとつを作ることができるのは職人冥利に尽きることと感じ、
日々の仕事に取り組んでゆく次第です。

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